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ありをりはべり

日常のひきこもごも

瞳の中の宇宙

自炊をはじめてから、毎週かというくらい通っていたコーヒーやさんには、なかなか行かなくなった。

しかし冬にはホットコーヒーが飲みたくなり、夏がくればアイスコーヒーが恋しくなるというのが私のパターンで。

今日は、久しぶりにそのコーヒーやさんへ。

席が隣になったかたもまた、久しぶりに会う常連さん。
にこにこ挨拶を交わしたあと、お店の新作らしいご飯を頂いているのをみて、急激にへリだすお腹。
結局、アイスコーヒーを飲みに来たはずがちゃっかりご飯も食べ、しかもこれまた隣の方が飲んでいたチャイに惹かれ食後の飲み物はチャイ。

当初の目的は空いた穴にすとんと落ちてしまった。

まぁ夏はこれからだし、と先日ラジオから流れていたTUBEを心の中で口ずさみつつ
ゆっくりと暮れゆく空と町並みを見る。

気づけば例年にはない早さでおわりを告げた梅雨。
しかし、沖縄らしい重苦しい湿気は健在で、それはぐんぐん上がる気温と相まって、立っているだけでもじわり汗がでる。
これに強い日差しまで加担したときなど、沖縄にすまなきゃよかったとたまに思う。

時刻は午後7時。とはいえまだまだ太陽は眠るようすはなく、雲の間から時々下界をのぞいている。道行く人も、ややげんなりな表情でにびいろのアスファルトの上をとぼとぼ歩いてゆく。

ぼんやりと外の景色を眺めていると、
音をたててあいた戸から、知っているお顔が一人、また一人。

温かな声で私の名を読んでくれるその人たちは、やはり温もりを携えた眼差しで、お久しぶり、と声をかけてくれた。

うちお一人は、黒を貴重とした服装に映える、白いヘッドホンを持っていて。

もうお一人の方は、これまで殆ど見たことはなかったメガネレスの姿で、白地に暖色の刺繍のはいった可愛らしいワンピースを着ていた。


やはり夏は夏の色彩があるのだなと思いながら
涼やかなお二人に会えて、心のうちに風が吹いたようだった。

特に、普段眼鏡をかけている方の瞳は、印象的だった。
まるで瞳の中に星屑でも散りばめているみたいに、空間のなかの光を、幾重にも映していて。
こんなに素敵な瞳をされていたんだな、と驚いた。

そして、なんだかすこし、こんな素敵なことを今知ったというちょっとした悔しさというか、勿体ない気持ちというか。

けれど、宝物を見つけたときのような、嬉しい気持ちとが
ぐるぐるとない交ぜになって。
そんな不思議な状態に陥る自分には、初めて出会った。


今日、パスタとチャイを真似っこさせていただいた方から教えて貰った星占い。それには、今年は内にあったものを外に放つ激しい変化の年であり、深い愛の年でもあると書いてあった。

深い愛。

今日一日でも、懐かしい人たちに会って、それを目にしたと思う。
生まれも育ちも違う、しかも多分普通の人よりだいぶへんてこりんな私に、優しく穏やかに向き合ってくれる人たち。
そして今日は、その変わらぬ温もりだけでなく。星屑を携える瞳にも出会ったのである。

さまざまな初めましてから始まった2015年。まだ半年もあるのかとやや驚いているが。
これからどんな変化があるのか、それもそれで楽しみなのも事実。

変わらぬものも、変わっていくものも大切にしていけたら。

夏の扉を開き始めた沖縄で、柔らかく涼やかな風を知った今日。瞼の裏に残る星屑を思いながら、しずかにそう思っている。