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ありをりはべり

日常のひきこもごも

andymoriについて

 

昼さがり。

ぶらぶらと那覇市内をさまよっている際、ふとandymoriが聞きたくなった。携帯でちょうど開きっぱなしだったyoutube。すいすいスクロールしながら曲選びをしていたのだが、探しながら「そういえば解散しちゃったんだよなぁ」と寂しい気持ちになった。

andymoriは、初めて自分でチケットを買い、一人でライブを見に行ったバンドだ。

それまではライブといったら父と一緒に行っていたし、地元ではチケットをコンビニで買うというシステムがなく、ライブハウスの知り合いのおじちゃんから直接買っていた。なので最初はLoppiってなに、ファミポートってなに状態だった。おそらくコンビニでは挙動不審しすぎて目だっていたんじゃないかなというくらい、いま思い出しても私のチケット購入までの道のりは険しかった。

 

ライブを見るために列にならぶなんてことも知らなかったし、これいったいなんの列なんだ、といぶかしげな思いで列の横を通り過ぎライブハウスに突入し、案の定、係りのお兄さんに制止された。

「お姉さん、順番ですよ」と言われた時「いや、私、並んでないので」と右手に思い切りチケットを握っているくせにとんちんかんなことを言ってしまい、お兄さんを困惑させた。

初めて入るライブハウスで、しかもそのデビューが一人参戦。音楽聴きにいくのに参戦って何だと、色々なサイトや父愛読のロッキンオンジャパンなどでライブレポートを読むたびに思っていたけど、まさに戦場に乗り込むような緊張感をそこで体感して、ああきっとこのかんじなのだと納得した。

 

けれどそんな緊張感は、隣のひとと肩をくっつかせながら迎えた暗闇のなか

響いた鋭いギターの音色に、すぐにかき消されたのである。

 

三秒前までざわざわと騒がしかった会場内。まるでそれまでの囁きや靴の音や、それぞれが手に持つプラスチックコップが指につぶされて小さく鳴いた音、それらが全部嘘だったかのように、その一音が響いた途端、一瞬で静まり返った。

 

「バンドを組んでいるんだ みんなに聞いてほしいんだ」

背中から真っ白いライトを浴びて始まったのは「ユートピア

小さなライブハウスで初めて生で聴く小山田壮平の歌声はただただものすごかった。

透明で力強くてしなやか。表現がひとつではしぼれなくて

鳴り響くギターも、鼓動と呼応するみたいに刻まれるドラムも、絶対的な存在感を示す声と、絶妙な間合いを持って音を重ねていた。

 

ライブは緩急を繰り返しながら進み

何度も何度も聞いたせいで耳に染みついていたイントロが聞こえ始めた時、思わず小さく声を出してしまった「1984」

 

 
andymori "1984〜ONLY SSTV EDITION〜" - YouTube

 

andymoriは夕暮れがとても似合うバンドだとおもっている。一日の中でゆっくりと景色が移ろっていく、その微妙な合間。特に「1984」はそんな「どちらでもない」瞬間に合う気がする。

 

「クレイジークレイマー」「革命」「すごい速さ」

と続いて、アンコールでは「16」と「Life is party」。

 

 
andymori "革命" - YouTube


andymori "すごい速さ" - YouTube


andymori "Life Is Party" - YouTube

 

 

もう言葉通り感動で胸がいっぱいになってしまって、帰りにドリンク券で買ったオレンジジュースは、喉はからからなのに全然飲めなかった。

帰りのバスの中で、まだ胸はどきどきしていたし、はやくこの感動を誰かに伝えたくてどこかに残しておきたくて、堪らなかったのを今でも覚えている。

 

音楽を聴いて、あんな気持ちになったのは初めてだった。

 

学生生活を送る中、ライブのあともずっとandymoriを聴きつづけていた。

通学途中、勉強の合間、帰り道。どの瞬間にも彼らの音楽があった。

けれど実習と試験勉強が詰まりに詰まっていた時期、私は少しだけ音楽を聴くことから離れてしまった。

そして学業が落ち着き始めほどなくしたころに、andymoriが活動休止することを知った。

 

やはりショックだったけれど、あれだけの感動を与えられる人たちなのだから、またきっと帰ってくるはずだと信じていたし、願っていた。

 

 

だから解散するなんて思いもしなかったし、それを知った時は、本当に本当に、悲しかった。

 

 

 しかし、時間を経て私の関心も少しずつ変化していってしまった。

学校を卒業し仕事につき、お金や時間の使い方をだんだんと覚えてきた私は、各地の様々なライブに行くようになり、以前は聴かなかったようなジャンルの音楽も聴くようになった。

やがてandymoriを夢中で聴いていたころの事は少し前の思い出、みたいになっていた。

 

だが今日久しぶりにその音と声を耳にしたとき、とてもとても嬉しくてかなしい、なんともいえない気持ちになったのである。

 

数カ月ぶりに聞いたandymoriは、全然懐かしいという気持ちにはならなかった。

初めて彼らの音楽に出会ったときのような熱い衝撃が胸に押し寄せてきて

画面を通して届くサウンドに、ただただ、圧倒された。

 

心細さを抱いたままぽつんと立っていた20歳の私は、一瞬にして彼らの鋭くて温かな音色で救い出されたような気持になった。

そして今もまた、数年前に受けたあの衝撃と、包み込まれるような温かさを、紡ぎだされる音楽から感じている。

 

この心情をどう表せばよいのか上手い言葉が見つからないのだけれど、言葉に表せない気持ちが溢れそうなほどに生まれたあの夜はやはりかけがえのないものだったのだと、思う。

 

きっと彼らの音楽はこれからも、彼らの音楽を、彼らとともに感じた人々のなかで、その熱を持ったまま生き続ける。

 

まだ曲の余韻から冷めやらぬ胸の音を聞きながら、確信にも似て、そう思った。

 

 

 

大人になって 大人の顔をしている

君のありのままの笑顔を見せてよ

それだけでいいよ 今夜はまだ眠れない気分

 

かけがえのない感動をくれたandymoriの音楽へ、感謝を。

 

大好きな「クラブナイト」

 


andymori「クラブナイト」〜SWEET LOVE SHOWER2012〜 - YouTube