読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ありをりはべり

日常のひきこもごも

台風過ぎて

 昨日、沖縄に台風19号が上陸した。

その日私は案の定仕事で、職場の先輩はテレビの気象情報を見ながら「なんとかパスカルとか言われてもイメージわかないし、よくわかんないのよー」と言っていた。

その横で、私は液晶画面に映し出される台風の進路図と「925hpa」の文字に

 

震えていた。

 

実家が離島なので、台風の被害は毎度すさまじいものだった。おまけに人里離れた丘の上にあり、風をさえぎるものというのが周りに何本か生える木くらいしかない。丘から見下ろす海からの潮風が直で当たり、家が揺れ、雨が窓を激しく打ち付け、その音に会話すら難しくなる。

そして当然のように停電し、浸水し、あるときは断水する。以前この三重苦が一週間以上続き、お風呂に入ったり、制服のアイロンをかけにいくために、一足先に電気が回復した祖母の家まで通ったりした。

そのときでも930hpaである。  

那覇に住み始めて大きな台風にあたったことはないのだが、風に関しては周囲の建物が守ってくれるし、そこはどうにかなるだろう。停電したっておそらく数時間、長くて数日。品ぞろえは厳しいかもしれないが取り敢えずコンビニだっていたるところにある。家の周りの電柱が20本倒れ一向に電気が回復しなかった実家(+断水と浸水と食糧難)での思い出を振り返れば、そんなものへでもない。

ひたすら925hpaの文字にびびる私を、先輩は「アパート大丈夫だといいね…」などと心配してくれたのだが

私の心配は自分が住んでいるアパートではない。

 

 

 

実家である。

 

 

 

昨日は母とも父とも連絡が取れず、心配からなのか今日は深夜2時半くらいから起きてしまい、なのに目がさえている。

そして朝から松尾レミをきいてしまい心が余計にざわついている。

聴いている曲のタイトルや歌詞が今の心理状況と重なったりすると嬉しくなるのだが、今日のところはそう喜べない。

 

朝の四時、お腹はすいていなかったが取り敢えず朝食を済ませ、八時を回ったころに母に電話をかけてみた。

母は、私の電話に笑っていた。「ちょっと風が強いくらいよ、大丈夫!」と。取り敢えず実家は大丈夫そうなので安堵したところで、母が過去の台風の思い出を語り始めた。

「やー、ずっと前にきた台風なんか風でドアが開きそうでね、家族みんなでドアおさえたからねぇ…牛小屋も破壊されたりねぇ、バナナの木も全部駄目になったしね。

だからあんなもんに比べればどうってことないわよね、だいたいのはね!」

 

ベランダに積もる落ち葉を拾い集めながら、自然の脅威を知るって大事だな…という結論に至った。


自然は怖い。

そして、母は強かった。


焦燥 /松尾レミ(Original) - YouTube