ありをりはべり

日常のひきこもごも

周年祭と浴衣

 

今日はよく通っているお店の周年祭だった。

浴衣を着てくると飲みもの代がただという言葉につられて、今年初の浴衣を着る。

 

浴衣だーえへへ

なんて浮かれていたのに、タクシーのおじちゃんに実年齢より5歳も上にみられて、行く前から撃沈である。もう少し気を使ってほしかった。(いや気を使ってのそれだったのだろうか。…そんなことを考えだしたら余計落ち込むので、思い出は胸の奥にしまうことにした)。

 

そのお店は、私にとってとても大切な場所だ。

わたしはあまり人前では泣けないが、失恋したとき店長の前ではぼろぼろ泣いた。その時出されたカクテルがパラダイスという名前で、おかしくてすこし笑えた。

父が酒好きなのにものすごくお酒が弱いため、遺伝を恐れて避けていたお酒も、少しずつ飲めるようになった。(そしていつしか店長にひかれるほどお酒がつよくなってしまった…)

 

通い始めてまだ一年と少しだけれど、人も物も、色々なものが変わった。けれど、店長はどんなときも変わらず笑顔で迎えてくれる。

 

 

頬をほてらせて笑っているお客さんの顔を見て、私までにやにやしてしまう。

 

今日は本当におめでとうございます。

そう乾杯のあいさつにいくと、店長はいつも通り柔らかく笑ってくれた。

 

おめでとう、おめでとう。あちらこちらで聞こえる乾杯のおと、笑い声。

 

大好きな場所で、

これからもずっと、こうしてあたたかい笑顔が連鎖していったらいいなと思った。

 

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